元カノとのふたりごはんは、
いま思い返せば贅沢だったように思う。
ふたりの時はレンジがなかった。
彼女の帰りに合わせて、
あたたかいものはあたたかく、つめたいものはつめたく。
基本、できたものをその日にふたりで食べ切る。
私からレンジを買いたいと言ったこともあったけれど、
彼女ができたてを食べたいと言うので、その希望を叶えるよう私もがんばった。
食べている時に朝ドラを見ることが多かった。
しかし、それ以外のテレビはつけないで、
ふたりできょうあったたわいもないことを話した。
食べ終わると季節の果物を食べた。
例えば、9月なら梨を買ってきた。
梨、とひと言で言っても8月は幸水、9月は豊水。
というように季節が移ろうのに合わせて果物の種類が変わったりする。
彼女は8月に出る幸水が大好きだった。
皮をむくのは大抵私だった。
私は皮をむくのが嬉しかったように思う。
自分の大切な人が食べたがっているものの皮をむいて出す。
それだけで喜んでもらえる。なんか得した気分。
果物を食べ終えたら、あたたかいお茶を淹れる。
ある時は彼女がハマったルイボスティー。
私は本当はルイボスティーはあまり好きじゃないけれど、
彼女が体に良いと力説するし、とても気に入っているようなので、
私も飲む。
冬になったら体を温めてくれる三年番茶。
など時期に応じてお茶を変えた。
こんなていねいであたたかい時間を過ごせていたなんて、
私は大変な幸せ者だったのだな。
彼女と別れてからのひとりごはんは、本当に辛かった。
しかし、そんな日々に、いつの間にか私も慣れてしまった。
そのうち、ひとりごはんの話も書こう。
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